第5回 One Health Relay Report(分子病態・診断部門 大場 靖子 教授)


第5回目は大場先生による「蚊が媒介するウイルスの調査」のお話です。

 

 大場 靖子 教授

 人獣共通感染症国際共同研究所

 分子病態・診断部門

 

 【研究テーマ】 

 ・ザンビアにおけるアルボウイルスの調査 

 ・蚊媒介性ウイルスの増殖メカニズムに関する研究

 ・アフリカ・南米の蚊に潜む未知ウイルスの探索

 

 

 「蚊が媒介するウイルスの調査」

 

人獣共通感染症リサーチセンターでは、アフリカ南部に位置するザンビア共和国のザンビア大学獣医学部に研究拠点を構えて、人獣共通感染症の先回り対策を目的とした調査研究をしています。

私達の研究グループは、デング熱やジカ熱など蚊が媒介するウイルス感染症の流行リスクを把握するため、ザンビアの各地に生息する蚊を採集し、蚊が保有するウイルスの探索をしています。これまでに、ザンビアで採集したネッタイイエカから、ウエストナイルウイルス(WNV)、シンドビスウイルス、オルビウイルス等を単離しました。WNVはヒトや馬でのウエストナイル熱の原因ウイルスで、重症例では脳炎を引き起こします。さらに、ザンビア大学とワニ園との共同研究で、神経症状を呈したワニからもWNVが検出されました。こうした研究成果により、ザンビアにおいても未診断のWNV感染症の患者がいる可能性や、今後ウエストナイル熱が流行する可能性を示すことで、早期診断や防蚊対策の強化等、流行予防に繋がることが期待できます。現在、ヒト検体や自然宿主である野鳥でのWNVの調査を進めています。

ザンビアや南米のボリビアで採集した様々な蚊からは、未知のウイルスも次々と見つかっています。人類を脅かすような悪玉ウイルスだけではなく、中には宿主と仲良く暮らして何か恩恵を与えている善玉ウイルスもいるかもしれません。そんなウイルスの知られざる姿も明らかにしたいです。

 

            

ザンビアで地域住民の協力を得て蚊のトラップを設置       WNVが見つかったザンベジ川氾濫原地域での野鳥の調査

 

WNVを媒介するネッタイイエカ