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第3回 One Health Relay Report(危機分析・対応部門 松野 啓太 准教授)
第3回目は松野先生による「私たちの知らない未知のウイルス」のお話です。
松野 啓太 准教授
人獣共通感染症国際共同研究所
危機分析・対応部門
【研究テーマ】
・ブニヤウイルスに関する研究
・急性感染症を引き起こす未知のウイルスに関する研究
・ゾウヘルペスウイルスに関する研究
【自己紹介】
ウイルスの中でも、出血熱のように急激で重篤な感染症を引き起こすウイルスが好きです。すごくシンプルな造りなのに(だからこそ?)、激しい病気を起こしたり起こさなかったりするウイルスの謎を追いかけています。
【研究紹介】
誰も知らない未知のウイルスが、ひそかに人や動物に病気を起こし、さらには死に至らしめている――まるでホラー映画の出だしですが、そんなウイルスが21世紀の日本で見つかると思っている人がどれくらいいるでしょうか?2013年の重症熱性血小板減少症ウイルス(SFTSウイルス)の発見*はまさにそんな筋書きでした。中国で発見されたSFTSウイルスが、実は日本にも存在していて、誰も気づかぬうちに人々の命を奪っていたのです。このSFTSウイルスがネコにも重篤な病気を引き起こしているのではないか、と疑われ始めていた矢先に、広島市の安佐動物公園で2頭のチーターが立て続けに死亡し、その原因がSFTSウイルス感染であることを私たちのチームが明らかにしました。ウイルス感染症を疑った同園の野々上獣医師(私の同級生です)は見事と言うほかないですが、それにしても、私たちの理解の及ばないウイルスという存在を実感する事件でした。2020年1月現在、世間は新型コロナウイルス(2019-nCoV)で大騒ぎです。裏を返せば、新しいウイルスが病気を起こせばあっという間に見つけることができ、抗ウイルス薬やワクチン開発へと迅速に進められる社会になりました。ウイルスをもっと理解して、混乱しなくて済むような社会になるよう、これからもウイルスを見つめていきたいと思います。
*山口大学と国立感染症研究所のチームによる。