第40回 One Health Relay Report(国際展開推進部門 梶原 将大 准教授)


第40回目は梶原先生による「コウモリが持つウイルスについて」のお話です。

  

 梶原 将大 准教授

 人獣共通感染症国際共同研究所

 国際展開推進部門

 

  【研究テーマ】

 ・コウモリが保有するウイルスの研究

 

 

 

 

 「アフリカのコウモリがもつウイルスの研究」

 

 "アフリカの水を飲んだ者はアフリカに帰る”という言葉があります。大学生の時に初めてザンビアを訪問した私は、約5年のザンビア赴任期間も含め、かれこれ10年以上アフリカで研究を続けています。主な研究テーマは、コウモリが保有するウイルスを見つけ出し、その性状や生態を解き明かすこと。ザンビアではヒトに致死的な出血熱を引き起こすマールブルグウイルスの存在を明らかにしました。そのウイルスはなんと2,000 kmも離れたコンゴ民主共和国やウガンダのウイルスと似ていたのですが、いつ、どうやって、どこからザンビアへやってきたのか、その生態は謎に包まれています。

 ウイルスは生きた細胞に感染し、そのシステムを乗っ取って自身を複製する存在です。つまり、宿主であるコウモリの生態への理解無くして、ウイルスの生態を理解することはできません。私が今最も熱中しているのは、小型のGPSロガーを装着したコウモリをザンビアの夜空に解き放ち、その行動を人工衛星で追跡するバイオロギング研究です。追跡の結果、コウモリが隣国や人工密集地である首都圏に侵入する様子を捉えることに成功し、想像以上に広い範囲をコウモリが行き来することがわかりました。今後、コウモリの移動に伴うウイルス伝播のリスクについて解析する予定です。ウイルスの生態を理解することで、ヒトや動物を感染症から守り、健康・幸せに貢献できるような研究に取り組みたいと考えています。

 

     

防護服を着用し、夜間にコウモリを捕獲する    コンゴ民主共和国にて. たくさんコウモリが捕れました

 

GPSデータロガーを装着したコウモリ