第31回 One Health Relay Report(放射線学教室 安井 博宣 准教授)


第31回目は安井先生による「放射線治療・診断技術の開発について」のお話です。

  

 安井 博宣 准教授

 獣医学研究院

 応用獣医化学分野 放射線学教室

 

  【研究テーマ】

 ・放射線を利用した新しい治療技術の研究開発

 ・イメージング技術による放射線応答の解析

 

 

 

 「見える化による放射線科学で医療に貢献することを目指して」

 

 放射線と聞くとやはり見えないものによって知らないうちに被ばくしているような怖いイメージが先行するため、がん治療や画像診断での医療メリットを差し引いても、できるだけ関わりたくないのが一般的な印象だと思います。

 しかし、近年の放射線技術の発展は特にヒト医療において目覚ましいものがあり、がん治療に関しては主に工学・物理学的な進歩による高エネルギーX線や粒子線を用いた治療が臨床で始まっています。疾病診断に関してもレントゲン・CTのみならず、様々な核医学診断薬を用いた機能的画像情報が高感度に得られるPET/SPECT診断が行われています。ともに獣医領域ではまだまだ黎明期ですが、これら高度技術がありふれた医療になっていくためには細胞・実験動物を用いた基礎生物学でのエビデンスの積み重ねが不可欠であり、また放射線影響が見えないことによる不安を取り除くためのイメージング技術による可視化が重要です。

 私たちは、放射線に対する生物応答をイメージングや細胞生物学・分子生物学的手法によって画像解析および定量解析することで、根拠を持ってより効率的な治療効果、診断予測効果を提供できる放射線治療・診断技術を開発しています。最近では、細胞老化や微小金属の関与する細胞死に着目して、放射線と組み合わせた老化標的治療法や鉄/銅依存性細胞死誘導治療法といった新規治療技術の開発に取り組んでいます。

 

放射線による細胞の核形態・細胞骨格の変化 (多重蛍光染色)

 

放射線による移植腫瘍内酸素環境の変化(PET低酸素イメージング)

 

SaSSOH2019招聘者との国際文化交流(RWC2019)