第29回 One Health Relay Report(ワクチン研究開発拠点 高田 健介 特任准教授)


第29回目は高田先生による「免疫系について」のお話です。

  

 高田 健介 特任准教授

 創成研究機構ワクチン研究開発拠点 

 臨床開発部門

 

  【研究テーマ】

 ・T細胞を介した免疫記憶の制御機構

 ・免疫疾患の病態解明と治療法の開発

 

 

 

 「免疫系の強化とコントロール」

 

 免疫系は過去に感染した病原体を記憶し、再感染に対して素早く強力に応答することができます。「免疫記憶」と呼ばれるこの現象は、ワクチンに応用され、ヒトと自然の共存に大きな貢献を果たしてきました。昨今、新型コロナウイルスのパンデミックを背景にワクチンに関する様々な情報が飛び交う一方、その基本原理である「免疫記憶」のメカニズムについて詳しく語られることはほとんどありません。その理由のひとつは、記憶リンパ球とよばれる免疫記憶に重要な細胞の実態が、あまり良くわかっていないからです。私たちは、ウイルスや癌細胞への防御に重要なCD8+ T細胞(キラーT細胞)の分化・活性化・記憶形成のメカニズムを解明し、ワクチンや免疫療法の開発に貢献することを目指しています。現在、記憶T細胞に特徴的ないくつかの分子に着目し、遺伝子改変マウスやゲノム編集技術を用いて研究を進めています。

 

 また、体を感染から守るはずの免疫細胞が暴走すると、様々な疾患につながります。しかし、多くの病因が複雑に絡み合う免疫疾患において、有効性が高く、しかも副作用リスクの低い治療法を開発することは容易ではありません。私たちは、免疫疾患の発症に結びつくT細胞の異常を明らかにし、これを標的とした治療法の開発にも取り組んでいます。

 

   

 T細胞の機能を試験中。大学院生とともに。  多様な免疫細胞が集まり、免疫応答の中枢となるリンパ節の構造。

                      赤色がT細胞の領域。

 

モデルマウスを用いて、皮膚の炎症性疾患(乾癬)に対する分子標的薬の効果を検討。