第14回 One Health Relay Report(感染症学教室 村田 史郎 准教授)


第14回目は村田先生による「ワクモについて」のお話です。

 

 村田 史郎 准教授

 獣医学研究院

 病原制御学分野 感染症学教室

 

 【研究テーマ】

 ・新規ワクモ防除法の開発

 

 

 

 

 「ワクモ」

 

2017年、ヨーロッパの多くのスーパーマーケットで、大量の鶏卵が店頭から消えました。禁止薬品であるフィプロニル*が違法に使用され、その結果、汚染された可能性のある鶏卵に対して、大規模な回収措置がとられたために起きた事件でした。発端を作ったのは、体長1mmにも満たない小さなダニでした。

 

“ワクモ”と呼ばれる、この小さなダニが鶏に引き起こす吸血被害(産卵率の低下、卵質の低下など)は養鶏産業に大きな脅威を与えています。清掃や既存の薬剤による対策では、完全な防除にはなかなか至りません。その理由はワクモが持つ性質にあります。ワクモは夜間に活発に動き回り、日中は鶏舎内の隙間など、目につきにくい場所に潜みます。もし日中から目につく場合は相当数のワクモによる汚染を覚悟する必要があります。防除を困難にさせるもう一つの理由は、ワクモによる薬剤抵抗性の獲得です。先のフィプロニル汚染事件も、この手詰まり状態にあるワクモ問題が引き金となった事件でした。現在、喫緊の課題として画期的なワクモ対策方法が求められています。

 

このような背景をもとに、私たちは新たなワクモ防除策の開発研究を行っています。また、ワクモや類似するダニ類による養鶏場の汚染状況について、海外で調査を行っています。これらの研究成果を通じて、対策に窮している現場の方々の助けとなることを目指しています。

 

*フィプロニル:害虫駆除に用いられる殺虫剤。産業動物への使用は承認されていません。

 

 

  

ワクモの採取               養鶏場内での調査

 

ミャンマーでの調査