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第27回 One Health Relay Report(生物製剤研究開発部門 新開 大史 准教授)
第27回目は新開先生による「インフルエンザワクチンについて」のお話です。
新開 大史 准教授
人獣共通感染症国際共同研究所
生物製剤研究開発部門
【研究テーマ】
・季節性インフルエンザワクチンの研究開発
・免疫レパトアを用いたワクチン免疫応答の解析
・抗原原罪説の免疫学的解明
「より良いインフルエンザワクチンの開発」
世界の季節性インフルエンザ*1ワクチンは,ウイルス粒子をエーテルまたは界面活性剤で分解したスプリットワクチンが主流です。スプリットワクチン(日本ではHAワクチンとも呼称されています)は副反応(実は免疫応答)を抑えることを主眼に免疫力価を犠牲にして開発されたために、効果が極めて低く、特に小児と老齢者の発病と重症化を防ぐ免疫を誘導できません。免疫力価が高く安全な季節性インフルエンザワクチンの開発は、喫緊の国際課題です。我々は、季節性インフルエンザ対策の改善がパンデミックインフルエンザ*2の対策にも繋がると考え、日本のインフルエンザワクチンメーカー全4所・社(KMバイオロジクス、デンカ株式会社、第一三共株式会社、株式会社BIKEN)、滋賀医科大学、熊本大学、メルボルン大学、国立感染症研究所と連携して、「全日本インフルエンザワクチン研究会」を立ち上げ、全日本の産・学・官連携による世界基準の新しい不活化全粒子インフルエンザワクチンの開発と実用化研究を推進しています。現在プロジェクトは、第I/II相臨床試験まで進んでいます。人々を守ることができるワクチンを一日も早く世に出すことが我々の目標です。
YouTube動画「すぐにわかる人獣共通感染症 ~パンデミックってなに?~」もご視聴ください。
https://www.youtube.com/watch?v=7HEZUxsF0C0
*1 毎年冬季に流行するインフルエンザウイルスにより発症する呼吸器感染症。
*2 季節性のインフルエンザとは異なり、これまでに人類が経験したことのない、動物由来の新しいタイプのインフルエンザ。
免疫を持たない人類の間で広まると、大流行(パンデミック)を起こす。
「全日本インフルエンザワクチン研究会」の集合写真 人獣共通感染症国際共同研究所BSL3施設での実験の様子
滋賀医科大BSL3動物実験施設での様子