- Home
- 情報発信・アウトリーチ
- 第25回 One Health Relay Report(バイオインフォマティクス部門 大森 亮介 准教授)
第25回 One Health Relay Report(バイオインフォマティクス部門 大森 亮介 准教授)
第25回目は大森先生による「感染症の流行データ解析について」のお話です。
大森 亮介 准教授
人獣共通感染症国際共同研究所
バイオインフォマティクス部門
【研究テーマ】
・感染症流行動態の数理モデリングとその解析
・数理モデルによる感染症流行データ解析
「数学で感染症をコントロールする」
新型コロナウイルスをはじめとした様々な感染症に人間は苦しめられ続けています。感染症によっては効果的な治療法や予防法が確立されていますが、これまで人間がコントロールできた感染症は天然痘ぐらい、と言われています。たとえ感染症をコントロールする手段の開発に成功したとしても、その使い方を考えなければ流行はコントロールできないのです。
なぜ使い方を考えなければいけないのでしょうか。それは、感染症の流行はとても複雑で予測が難しいからです。私は数学や統計の力を借りて、感染症の流行がどの様に進んでいくのかを研究しています。感染症の流行予測や進化の予測といった、一般的なデータ解析では見えてこない新発見が出来るような、新しいデータ解析の手法の開発に取り組んでいます。
また、感染症の流行のデータは豊富とは言えず、その為に感染症の流行がどの様に起きているのか知られていないことがよくあります。病原体の遺伝子データや環境中の病原体数の測定値といった、代替案となるデータの模索とその活用により、今まで知られていなかった感染症の流行メカニズムの解明を目指しています。さらに、数学や統計の、実際の感染症の流行のコントロールでの活用法についても研究しています。
ヒトインフルエンザB型の系統別の流行の数理モデルのモデル予測(点線)とデータ(実線)。
上のパネルはビクトリア系統の単離数、下のパネルは山形系統の単離数を表す。