第4回 WISE/LPセミナーを開催しました


 10月7日 (木)、第4回 WISE/LPセミナーを開催しました。

 

 今回は、シドニー大学生命環境科学研究科准教授Catherine Herbert先生をお招きし、「人と野生動物の共生 ~カンガルーの個体数コントロール~」について講演いただきました。当日は、会場とオンラインを含め計93名の参加があり、様々な学問分野から集まった学生達が野生動物と都市開発の問題について学ぶ貴重な機会となりました。

 

 オーストラリアは、言わずと知れた野生動物大国。コアラやウォンバットなど、有袋類を中心としたユニークな野生動物が生息しています。その中でも、国のアイコンともなっているカンガルー。オーストラリアの人々に愛され大変可愛らしい一面もありますが、生息地域が人々の生活領域と重なっており、人々の生活に支障をきたしているのも事実です。最も頻繁に発生している問題がカンガルーと車両の路上衝突事故であり、オーストラリア全土で年間600万件以上とも言われています。そんなカンガルーの個体数コントロール、カンガルーのウェルフェア、そしてこれらに配慮した上での都市開発は、長年に亘り答えの無い課題となってきました。人とカンガルーの共生のために尽くすCatherine Herbert先生。近年は、雌カンガルーの避妊処置を将来的に持続可能な解決策の一つとするべく、麻酔不要で約1年間有効なダーツ型の避妊ワクチンの製品開発にも携わりました。

 

 講演後、野生動物学教室の坪田敏男教授との対談では、北海道におけるエゾシカの個体数コントロールとの比較や、駆除の仕方等について意見交換がされました。対談の中でお話しのあった「カンガルーは国民に愛されているあまり、銃による殺処分は市民による反対意見が多く政府も積極的に遂行出来ない。結果的に、大きなコストがかかるがカンガルーのウェルフェアを考慮した避妊措置の開発が進んでいる」という事実には、会場の参加者一同驚きました。

 

 今回、本セミナーの学生代表は、野生動物学教室1年生のTu I-Tingさんと繁殖学教室2年生のVuong Tuan Phongさんが務めました。事前に何度も打ち合わせを重ね、Catherine Herbert先生への感謝の意が伝わるようなディスカッションセッションを計画してくれました。