第23回 One Health Relay Reportを掲載しました

2021/08/31


第23回目は磯田先生による「感染症について」のお話です。

  

 磯田 典和 准教授

 獣医学研究院

 病原制御学分野 微生物学教室

 

  【研究テーマ】

  ・家畜および人獣共通感染症の疫学解析

 

 

 

 

「感染症は現場だけで起きてるんじゃない、パソコン上でも起きてるんだ」

 

20世紀の後半から21世紀にかけて、世界中では多くの感染症がヒトで、そして動物で起こっております。これは産業化やそれに伴う気候変動などの環境要因や、流通の急速化などの要因も言われております。次から次へと新しい病気に立ち向かう必要があるなかで、我々はどのようにしてその準備を進めるべきでしょうか。

「なかった」病気が突如現れる世の中となったいま、その病気の後塵を拝することを黙って見ているわけにはいきません。現在ではコンピュータプログラムを用いて、コンピュータの中の仮想空間上で病気を発生させ、それがどのように拡がるかを確認することができます。これは病気やその原因となる病原体に関する情報、さらに推定される感染経路や有効な治療法などの様々な種類の情報を複合させることにより、実際に起きている病気について、仮想空間上でも現実世界での出来事と近い状況を再現することが可能となります。現実の出来事を仮想空間で再現した上で、現実では起きていない病気が未発生の地域での発生予測を行うことや、様々な感染拡大制御方策の有効性の推測などが可能となります。

現実世界は解明されていない病気の要因などがたくさんあることから、このような「未来予知」は完全ではありません。しかし、完全ではなくとも、信用のできる予想結果を提供することにより、我々は予想外の病気の発生への準備が可能になると考えています。

 

  

 

 

 

日本における旅客手荷物を介したアフリ豚熱ウイルスの侵入ルート。

汚染豚肉が、①海外技能研修生によって研修先の農家に持ち込まれる、②旅行者によって農家に持ち込まれ  る、③旅行者によって野生イノシシに持ち込まれる、ことにより、アフリカ豚熱ウイルスは日本に侵入することが予想される。

 

 

 

 

 

 

海外から日本に持ち込まれるアフリカ豚熱の、予想される家畜豚(A)

および野生イノシシ(B)におけるリスクの評価