第20回 One Health Relay Reportを掲載しました

2021/06/22


第20回目は池田先生による「内分泌かく乱物質について」のお話です。

  

 池田(荒木) 敦子 教授

 大学院保健科学研究院 健康科学分野

 環境健康科学研究教育センター 兼務

 WHO環境化学物質と健康障害の予防研究協力センター

 

  【研究テーマ】

  ・環境化学物質と子どもの健康に関する出生コーホート研究

 

 

 

 「内分泌かく乱物質」

 

私たちの日常は、たくさんの合成化学物質に囲まれています。これら化学物質のおかげで、私たちの生活はとても快適で便利なものになりました。一方、環境中に放出され、ヒトの体に取り込まれると、偽ホルモンとして働く「内分泌かく乱作用」を持つ物質があります。そこで、私たちのグループでは、妊娠中のお母さんと生まれてきたお子さんを追跡し、これら環境化学物質と健康に関する出生コーホート研究を行っています。

 

これまでに、妊娠中のお母さんの血液中のフタル酸エステル(プラスチックや塩化ビニールに含まれる物質)、有機フッ素化合物(撥水撥油剤)、あるいは塩素系農薬の濃度が高いと、生まれた時の子どもの血液(臍帯血)中の性ホルモン濃度が低くなったり高くなったりと乱れてしまうことを明らかにしました。さらに、この関連は女の子よりも男の子で大きく、精巣中の細胞分化に影響している可能性が示唆されました。もしもこの影響が、お子さんが成長しても続き、将来の二次性徴や生殖に悪い影響があるとしたら大きな問題です。

 

そこで現在、思春期を迎えたお子さんに協力してもらい、血液や尿を集め、子ども本人の化学物質の取り込み状況について調査をしています。さらに、これら化学物質の曝露(摂取)が大きい日用品の利用やライフスタイルを明らかにすることで、将来の子どもたちへの影響が少なくなるよう、有害物質の規制や安全な環境構築を目指しています。

 

  

思春期を迎えたお子さんの調査          尿中の環境化学物質の分析

 

思春期の調査チーム