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第10回 One Health Relay Report(寄生虫学教室 中尾 亮 准教授)
第10回目は中尾先生による「マダニが持つ微生物について」のお話です。
中尾 亮 准教授
獣医学研究院
病原制御学分野 寄生虫学教室
【研究テーマ】
・マダニなどの微生物叢の研究
・寄生虫のミトコンドリアゲノムに関する研究
・エキノコックスに関する研究
「マダニが持つ微生物について」
ここ数年、テレビのニュースなどで「マダニ」という言葉を聞く機会も増えたのではないでしょうか。マダニはクモの仲間の節足動物で、人や動物の皮膚にくっ付いて吸血する際に、様々な病原体を伝播します。西日本を中心に、致死率の高い人の病気(重症熱性血小板減少症候群)を媒介することが最近になってわかり、報道などでよく取り上げられるようになりました。
マダニが媒介する病気は、世界中で発生していますが、特にアフリカ諸国では、マダニが媒介する深刻な家畜の感染症があります。草むらなどに潜むマダニに取り付かれないためには、殺ダニ剤を使うことが有効ですが、薬剤耐性マダニが出現することや、薬剤を継続的に購入することが経済的に難しいため、マダニ媒介性感染症による被害が深刻です。
近年の遺伝子解析技術の進歩によって、マダニは病原体以外にも様々な微生物を保有することがわかってきました。その中には、マダニが生きるために重要では?と思われる微生物もいくつか発見されました。私たちは、最新の解析技術を用いて、国内外のマダニがどのような微生物をもっているのかを解析しています。また、マダニにとって重要と思われる微生物に着目し、マダニ媒介性感染症を制御するための研究を行っています。
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