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英国で約3年ぶりに古典的BSEを確認
英国で約3年ぶりに古典的BSEを確認
2024年5月9日、英国で約3年ぶりに古典的BSE(Classical Bovine spongiform encephalopathy)*が確認1, 2されました。
* 古典的BSEは、1986年、英国ではじめて確認された牛の病気です。BSEに罹患(りかん)した牛は、プリオンと呼ばれる、異常型プリオンたん白質から構成される病原体が、主に脳で増殖して神経細胞が変成し、異常行動、運動失調等の中枢神経症状を示し、死に至ると考えられています。英国における直近の古典的BSEは、2021年9月のイングランドのサマセット(Somerset、England)で確認されました。
発生地点1
1.感染牛
分娩間近の7歳半の繁殖用在来種(indigenous)の牛
2.発生農場
スコットランド南エアシャー(South Ayrshire、Scotland)の肉用牛繁殖農場(Beef suckler farm)(206頭飼養)
3.経緯
2024年4月26日から体調を崩し、横たわり攻撃的になるなどといったBSEに類似した症状を示した後、死亡が確認されました。48ヶ月齢超の死亡牛などを対象としたBSEサーベイランスプログラムの検査を行い、同年5月9日、当該牛はBSEであることが確認されました。
4.リスク管理
コホート牛(生後1年間に感染した牛と同一の飼料を給餌された牛)及び過去2年間に生まれた子孫である牛を特定後、スコットランド当局により発生農場などに移動制限が課されました。上記牛は予防的、人道的にとう汰、枝肉は廃棄されるとともに、検査結果は全頭陰性でした。その後、農場の制限は撤廃され、英国は英国産牛肉の輸出を継続しています。とう汰された動物の飼い主は、スコットランド政府から補償を受けることができます。
5.疫学
英国動植物衛生庁(APHA)は、本事例の原因を特定するため、調査を開始しました。疫学報告書は追って公表される予定です。英国における2021年9月以前の古典的BSEの発生事例は、2014年に1例、2015年に1例、2018年に1例(2016、2017、2019、2020年は0例)が確認され、これらの牛はすべて死亡牛でした。
6.ヒトのリスク
スコットランド食品基準(FSS)は、本事例は弧発的な事例であり、ヒトの健康にリスクがないことを確認しました。
7.BSEステータス
スコットランド政府は、今回の古典的BSE発生事例を以て、WOAHが認定するイングランドおよびウェールズ、スコットランドの両ゾーンの「管理されたBSEリスク」ステータス、および北アイルランドの「無視できるBSEリスク」ステータスに直ちに影響するものではないとしています。さらに、今回の事例においてBSEの病原体は制御され、牛集団内で循環するリスクは無視できるほど小さいことから、今夏に予定する「無視できるBSEリスク」ステータスへのWOAHへの申請に影響を与えないだろうとしています。
1.WOAH:https://wahis.woah.org/#/in-review/5667
2.スコットランド政府:https://www.gov.scot/publications/bse/pages/qa-on-case-in-ayrshire-may-2024/