第22回 One Health Relay Report(地球環境科学研究院 神谷 裕一 教授)

2021/07/19


第22回目は神谷先生による「汚染地下水の清浄について」のお話です。

  

 神谷 裕一 教授

 地球環境科学研究院

 物質機能科学部門 機能材料化学分野

 

  【研究テーマ】

  ・汚染地下水を清浄化する触媒の開発

 

 

 

「硝酸態窒素で汚染された地下水を清浄する」

 

21世紀は水の世紀といわれており、清浄な水の確保は持続可能な社会を構築するための基盤です。地下水は水質が良好で年間を通じた水量の変動が少ない優れた水資源であり、将来に渡って清浄な水を確保するためには地下水の持続的な利用は不可欠です。しかし、人間活動の質的・量的な増大を原因とする地下水汚染が、近年、世界各地で深刻化しています。地下水の硝酸態窒素による汚染は、その一つです。農業の大規模化・集約化は農作物の生産量を飛躍的に向上させました。しかし、田畑に撒かれた過剰な窒素肥料は土壌中で硝酸態窒素へと変化し、雨水の浸透を通じて地下水を汚染する結果を招きました。この汚染では汚染源が広範囲に広がっているので汚染源除去の方策を取ることが難しく、汚染された地下水を浄化して利用することが現実的な解決法です。

私たちは、地下水中の硝酸態窒素を水素と反応させて空気の主成分である気体の窒素へと分解するための触媒の開発研究を行なっています。硝酸態窒素を水素と反応させると悪臭を放つアンモニアも生成してくるので、それをいかに抑制するかが触媒開発の鍵です。また、実際に地下水を浄化するのは家庭レベルの小規模な施設が多いので、取り扱いの難しい水素を使わずに汚染地下水を浄化する方法(太陽光を利用した光触媒法やイオン交換体によるイオン交換除去)も研究しています。

 

             

地下水中の硝酸態窒素(NO3-)を水素(H2)と反応させて   地下水中の硝酸態窒素を分解する触媒の透過型電子顕微鏡(TEM)写真.

窒素(N2)へと分解する浄化プロセスのイメージ.

 

農地周辺の地下水(井戸水)を調査する様子.


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