第21回 One Health Relay Report(比較病理学教室 木村 享史 教授)

2021/06/28


第21回目は木村先生による「鼻疽について」のお話です。

  

 木村 享史 教授

 獣医学研究院

 臨床獣医科学分野 比較病理学教室

 

  【研究テーマ】

  ・モンゴルにおける鼻疽の疫学調査と迅速診断法の開発

  ・ウマヘルペスウイルス1型感染症の病態形成機序

 

 

 

「鼻疽」

 

「鼻疽」はウマ科の動物に流行する伝染病であり、原因である鼻疽菌はヒトに対して重篤な感染を引き起こすことが知られています。近年、鼻疽はアジア・中東・アフリカ・南アメリカにおいて再興感染症*1として注目されており、牧畜業を基幹産業とするモンゴルにおいても発生件数が増加しています。多くの馬は鼻疽に罹患しても症状を示さず、他の非感染馬およびヒトに対する感染源となることが従来から指摘されています。私たちの研究室では、迅速かつ高感度で正確な鼻疽菌の遺伝子診断法と血清診断法の開発に従事しており、不顕性感染馬*2の同定をより簡便に行うことを目指しています。得られた技術がモンゴルその他の流行国に普及することによって家畜衛生、公衆衛生の向上が期待されます。以下の研究紹介動画もご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=EJO9OYE_zzU

 

その他、私たちの研究室ではウマヘルペスウイルス感染症をはじめとするさまざまな動物疾病について分子レベルでの病態解明を進めており、伴侶動物、産業動物、動物園動物、野生動物の病理解剖にも精力的に取り組んでいます。

 

*1再興感染症:既知の感染症で、既に公衆衛生上の問題とならない程度までに患者が減少していた感染症のうち、近年再び流行し始め、患者数が増加したもの

*2不顕性感染馬:病原体の感染を受けたにもかかわらず、症状を発症していない馬

 

 

モンゴルの草原で鼻疽の疫学調査中         神経系培養細胞株を用いたウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)感染モデル

                        ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)は他のヘルペスウイルスと同様に神経細胞に潜伏感染します。

                        EHV-1が潜伏感染した神経細胞ではウイルス遺伝子の発現抑制が生じると考えられており、

                        私たちはその機序を培養細胞モデルを用いて解析しています。

                        

 


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